R's memorandum

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2005年 09月 15日

Acknowledgment (謝辞)

今朝は、まともな雨が降っていたので、歩いてラボへ。30分弱の道のりです。
帰るまでそれを忘れていて、8時前にラボを出てから思い出しました。
いかんスーパーで買い物しなくてはいけないのに。
せっせと歩きながら今日のメニューを考えて、買うべきもののありかをイメージして、
店に入るやいなや実に無駄のない動きで必要なものをゲットして、
一番短い列のレジを選んで支払いを済まして、またせっせと歩いて帰宅。
すぐに湯をわかしてパスタ麺をゆでて、その間に野菜やベーコンを切って炒めて、
茹であがったパスタをミックスして、塩コショウ、バジルをぱっぱと振って出来上がり。
がつがつ食べて、ふうーっと落ち着いて、時計を見たら9時。

お見事。

と何やら嬉しくなったとたんに、なんかこれって実験の続きみたい、と、
料理と仕事の共通点を再認識してしまって少し味気なくなりました。
いや、それなりにおいしかったんですけどね。

今日は辞書をラボに忘れてきてしまいました。
辞書無しではとてもじゃないですが怖くて英文は書けません。
それをいいことに今日は日本語オンリーで書きたいことをたんまりと。
(すでに長い)

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2日前のトピックで東京大学工学部の論文データねつ造疑惑のニュースについて触れました。
今日もひとつニュースを取り上げたいと思います。同じ東京大学の話題ですが、こちらはいい話。
勉強したら脳細胞増える マウスですが…大人にも希望?
勉強すると脳細胞が増える仕組みの一端を、東大の久恒辰博・助教授(脳科学)と大学院生の戸塚祐介さんが実験で突き止めた。何かを覚える時に出ると知られている脳波の一種「シータ波」が脳の中の海馬という部分に伝わると、将来脳神経細胞に育つ前駆細胞が刺激され、最終的に脳細胞が増えることがわかった。15日付の米科学誌「ニューロン」に発表する。
へえー、α(あるふぁ)波はよく聞きますが、θ(シータ)波ねえ。
大人のみなさん、どんどん勉強して脳細胞を増やしましょう!
ま、実際には増えるよりも壊れるスピードが速いような気もするので…どうせ言うならば
どんどん勉強して脳細胞が少なくなるスピードを少しでも遅くしましょう!

さて、私がこれを「いい話」と言ったのは、シータ波うんぬんのことではありません。
では何に反応したかお分かりでしょうか。
もう一度、引用したニュースをよくご覧ください。
勉強すると脳細胞が増える仕組みの一端を、東大の久恒辰博・助教授(脳科学)と大学院生の戸塚祐介さんが

むむっ
東大の久恒辰博・助教授(脳科学)と大学院生の戸塚祐介さんが

むむむっ
大学院生の戸塚祐介さんが


ここです。
たいていサイエンス界におけるこういった新しい発見のニュースは
それが大学の研究室である場合、教授か助教授の名前しか出ません(私の知る限り)。
しかし実際に実験しているのは学生さんなのです。
この戸塚さんは大学院生とあります。
ということは大学院修士課程あるいは博士課程に在籍しているということで、
学士か修士です。少なくともまだドクターではないと思われます。

新規の発見をまるで自分だけの手柄のようにして話す偉そうな
教授、助教授が多い日本では珍しいことのように思います。
久恒助教授ができた人なのかもしれません。
あるいは取材して原稿を書いたマスコミがよく分かっていたのかもしれません。
いずれにせよ、名前が出たことによって戸塚さんのモチベーションは
いっそう高くなったと私は思います。

「日本では珍しい」と書いたのには理由があります。

ここイギリスに来て研究生活を始めて、
「ああ、日本と違う」と思ったことを書いてみます。

(長いな~、今日は)

大学内で小さめの学会が開かれたときのことです。
小さいといっても3日間朝から夕方まで演題はあるし、
著名な先生方が内外から来ていたので内容は非常に濃いものでした。
発表する先生はそれぞれ自分のラボのテーマを包括的に、
そして新しいデータを加えてスライドで説明するわけですが、
必ずといっていいほど、この実験データは誰によるものかというのがはっきり記されています。

データと一緒に名前だけでなく顔写真を貼り付けているスライドも珍しくありません。
ついでに言うと、ビール飲んでる写真だったり、ユーモラスに加工してあったり。
「この○○っていう学生は非常に優秀で…」とか、
「この△△っていうポスドクが熱心にやったおかげで…」など、ちゃんと言います。
一枚目のタイトルのスライドに写真を載せている場合もあります。
“これは全部ここに写っている部下たちがやった仕事なんだよ”と言ってるわけです。

私はこれを見てえらく感動してしまいました。
これはラボを統括する先生からの感謝でもあり、
学生あるいはポスドクの宣伝でもあるわけです。
次にまた違う研究室へ行くための。
モチベーションもあがろうってなもんです。
非常にいいスパイラルが生まれるのではないでしょうか。

日本の学会ではどうでしょう。
ありますよ、ちゃんと。協力者に対する謝辞のスライドは。
でも最後の一枚に、名前をつらつらーっと並べただけなのがほとんどです。

お国柄、で済ませてしまうのではなく、
いいところは真似していけばいいと思うんですけどね。
ばかやってる学生の写真と、すばらしいデータが並んでいるスライドって、
妙に説得力があって、聴衆をひきつける効果もあると思うんですけどね。
そしてちゃんと自分のデータに自分の名前(あるいは顔)を付けてくれたボスに対して、
部下は嬉しくなって、「よし、また頑張るぞ!」と奮起すると思います。

みなさんはどう思われますか?

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River Thems, OXFORD
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by goodragon | 2005-09-15 17:06 | 科学なぜなぜ(Science)


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